中小企業の経営者にとって、事業承継は一大事であり、避けて通れない重要なテーマです。しかし、その方法やタイミング、そしてどのように準備すればよいのかが分からない方も多いのではないでしょうか。事業承継は単に後継者に事業を引き継ぐだけではなく、企業の存続や経営基盤の安定に大きな影響を与えるため、早期の準備が必要不可欠です。
本記事では、事業承継の基本的な考え方から、実際に行う際のポイント、さらに成功に導くための方法について詳しく解説します。今後の企業の安定した運営のために、事業承継をどのように進めていけばよいのかを一緒に考えていきましょう。
事業承継を考えたとき、あなたは何から始めますか?
以下のような悩みを抱えている経営者の方々も多いでしょう。
- 「準備はしたいけれど、何から始めればいいのか分からない」
- 「後継者がいないけれど、対策をしていない」
- 「子どもや従業員に後を継がせたいけど、意思確認をしていない」
- 「相続税の問題が気になるけど、どう対応すればよいのか」
こうした悩みを解消し、スムーズに事業承継を進めるために必要な情報を提供するため、本記事では実際に行うべきステップを順を追って説明していきます。
それでは、早速見ていきましょう。
目次
- 誰に承継するか/計画づくり
- 株式評価
- 株価引き下げ対策
- 株式引き継ぎ方法決定
- まとめ
1. 誰に承継するか/計画づくり
事業承継を始めるにあたり、最も重要なのは「誰に承継するか」を決めることです。事業承継には大きく分けて以下の3つの方法があります。
- ①親族内承継
- ②親族外承継(従業員)
- ③第三者承継(M&A)
廃業を除けば、必ずこの3つのいずれかを選ばなければなりません。では、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
① 親族内承継
まず、親族に後継者がいるかどうかを確認します。具体的には、次の点を確認します。
- 子供がいるか?
- 子供がいなければ、他の親族(兄弟や親戚)に適任者がいるか?
- 親族が事業を引き継ぐ意欲があるか?また、経営者としての適性はあるか?
これらの条件を満たしている場合は、親族内承継を前提に進めることができます。ただし、もしこれらの条件がすべて「NO」であれば、次に考えるべきは②従業員承継です。
② 従業員承継
従業員に事業を承継する場合、注意すべき点がいくつかあります。従業員承継を考える際は、以下の要素を検討しましょう。
- 事業を引き継ぐ意欲のある従業員がいるか?
- 株式を買い取るための資金を用意できるか?
- 従業員に経営者としての適性があるか?
いためがもし、優秀な従業員がいて、その従業員が事業を引き継ぐ意欲と資金を準備できる場合、従業員承継が可能です。しかし、株式を引き継ぐ際に資金調達問題発生しやすく、この間までサラリーマンだった個人がいきなり数千万あるいは数億円の借金をすることは現実的に難し慎重な検討が必要です。
③ 第三者承継(M&A)
親族内や従業員への承継が難しい場合、最終的な手段としてM&A(企業売却)を検討することになります。M&Aは、外部の企業に事業を引き継ぐ方法ですが、事前に十分な準備と市場の理解が必要です。
最終的には、これらの3つの方法から最も適したものを選び、その後の計画を立てることが重要です。
2. 株式評価
承継相手を決めたら、次に行うべきは「株式評価」です。企業の株価が高いか低いかによって、承継方法や資金調達の方法が大きく変わってきます。
例えば、「従業員に承継したい」と考えた場合、株価が高額(例えば10億円)の場合、後継者がその株式を現株主から買い取るのは現実的に難しいかもしれません。また、親族内で承継する場合でも、株式価値が高額の場合は贈与税や相続税負担が発生します。
そのため、まずは自社の株式評価を行い、株価が適切かどうかを確認しましょう。簡易的な株価評価を顧問税理士やメイン銀行に依頼して、現在の株価を把握することが第一歩です。
3. 株価引き下げ対策
株式評価を行った結果、株価が高額である場合、株価引き下げ対策を検討することが必要です。高額な株価は、事業承継において大きな障害となるため、適切な対策を講じることが求められます。
代表的な株価引き下げ策としては「役員退職金の支給」などがあります。このような方法で株価を圧縮し、承継がスムーズに進むようにします。
また、税理士と連携し、会社にとって最適な節税策を見つけ出すことが大切です。
4. 株式引き継ぎ方法決定
株式の引き継ぎ方法には主に次の3つがあります。
- 譲渡(売買)
- 贈与
- 相続
親族内承継の場合は「贈与」や「相続」が多いですが、従業員や第三者に承継する場合は「譲渡(売買)」が一般的です。当然と言えば当然ですが、事業を承継するとはいえ、自分の財産を、他人にあげる(贈与)するのは抵抗がありますよね。親族から不満が出るかもしれません。
そのため、親族外(従業員)への承継の場合は、株式の売買を選ぶケースがほとんどです。とはいえ、どの方法を選ぶかは、税金の面や後継者の意向を考慮して慎重に決定する必要があります。
5. まとめ
事業承継には、準備から実行までに5年〜10年かかることも少なくありません。早めに計画を立て、専門家と協力しながら進めることが円滑な承継に繋がります。自社の状況に合った方法を選び、後継者に負担をかけず、安定した経営を引き継いでいけるよう、今から準備を始めましょう。
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